アーカイブ: 2020年7月29日

IoT事例紹介、デバイス利活用事例

本日、IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)

https://iv-i.org/wp/ja/

の技術統括 古賀康孝 講師によるリモートでのセミナーを受けました。

講師より、

「ZOOM+miro」(ホワイトボード)でのリモートスカッション、

「KNIME」の普及、

IoT関連部品の低価格化、

「エッジ」の高機能・高性能化により、クラウドに上げる必要性が低くなった、

などのお話を伺いました。

また、

IVI公開シンポジウムで2020-spring-での最優秀賞など受賞事例の紹介いただき、大変興味深かったです。

興味があれば、以下参照下さい。

最優秀賞

マツダ他

https://iv-i.org/wp/wp-content/uploads/2020/03/symposium2020-spring_34.pdf

優秀賞

三菱電機他

https://iv-i.org/wp/wp-content/uploads/2020/03/symposium2020-spring_14.pdf

CKD他

https://iv-i.org/wp/wp-content/uploads/2020/03/symposium2020-spring_43.pdf

 

地域(中小企業)

最優秀賞

藤工業

https://iv-i.org/wp/wp-content/uploads/2020/03/symposium2020-spring_50.pdf

優秀賞

広機工

https://iv-i.org/wp/wp-content/uploads/2020/06/regional_seminar_debriefing_meeting-hiroshima01.pdf

オーザック

https://iv-i.org/wp/wp-content/uploads/2020/06/regional_seminar_debriefing_meeting-hiroshima02.pdf

新製品QCD(11)【顧客によるSystem Audit(システム監査)】

System Auditでは、新製品開発での手順(DR:デザイン・レビューの内容、頻度など含めて)、受注から納品Dまでの流れ、など、仕組み・システムについての監査が行われていました。

ここでは、プロセス技術に関係するところを紹介します・

 

1つ目は、今では、「BCP(事業継続計画)」と言えば一般的になってきましたが、90年代の後半に既にフィンランドN社からは具体的に要求されていました。

当時の印象は、「そこまでやるか~!」でしたが。。。

つまり、

1)生産現場で地震が発生して、生産・納品Dが困難となった場合、どうやって顧客に連絡するか。

2)受注等のデータセンターのバックアップ手段の計画。

3)事業再開のための手順。

より細かくは、

4)外部から購入品について、代替品の検討計画。

(サプライヤー(部品メーカ)のサプライヤーから供給不可となった場合に備えての、代替計画。)

そして、最も困難な項目と思われたのは、

5)製造拠点の複数化(離れた場所に、もう一つ工場をつくる)計画。

等々、実際は多項目にわたっての要求でした。

 

これらについて、回答書を提出しました。

しかしながら、4)5)は、現実的には検討は進みませんでした。

さすがに、5)は「事業者の判断する項目」であるが、提出してくれ、のような感じでしたが。

 

2つ目は、文書管理です。

これも、今では、紙の文書だけでなくて、データベース上の電子ファイルのアクセス管理は一般的になったたように思いますが、

当時から、顧客との文書、製造に係る文書の管理について、

「原則施錠したキャビネット」を使用、

また、上記BCPとも関係しますが、コピーを「離れた場所」(例えば東京本社の営業部)に保管、

する等、「危機管理・リスク管理」についても、当時としては先進と思われる指導をいただきました。

 

後年に一般化する概念は、

それぞれの時代で先頭を走っている事業者によって、最初に提案され、段々と広がっていくものと、

認識しています。

 

文頭のDRについても、最初に聞いたのは、80年代後半IBMが大型コンピュータ事業で成功し、更に日本メーカ3社?がIBMコンパチ路線で、同様に事業を拡張していた時期に、たままた親会社の関連部署に実習する機会に恵まれて、そこでデザイン・レビュー(DR)という言葉・概念を初めて知りました。

新製品QCD(10)【顧客によるProcess Audit(プロセス監査)】

お客様への納入実績もある程度できて、継続的な生産が見込めるようになると、顧客からAuditを受けることとなります。

Auditには、新製品開発の手順、営業(受注)、調達、発送等のシステムに関するものと、製造プロセスに関するもの、の2つに分かれていて、顧客からみて、「問題の無いサプライヤー」であるかどうか、判断されます。

判断と言っても、今後取引はダメということでは無くて、Auditの後、

1)この点は改善して欲しい、

2)将来的に、このような取り組みをして欲しい、

というような、報告書が届いて、それぞれに計画を提出するような形でした。

実際は、現場でのAuditの後の打ち合わせで、顧客の要望や意向は察しがつくものでしたが。

 

先ずは、対応での主担当であったProcess Auditについて記します。

既にISO9001は認証取得済でしたが、顧客のAuditでは、より具体的、現場的でした。

・漢字が分かる中国人と、本国からの欧州人が現場に工程の順に立ち入る。

・現場に配布されている作業標準書や手順書が、原本と異なっていない「最新版管理」できているか確認する。

(中国人が、いくつかの工程での手順書を見て、発行年月日をメモっていて、後の打ち合わせで原本と違いが無いかを確認。)

・また、手順書等は、現場の作業者が机や棚まで、数歩歩いて、「探す」レベルではダメで、歩きは一歩以内で、パッと取り出せるレベルを要求されました。

・補助材料等で「先入れ先出し」が徹底される仕組みとなっているか。

(当初は製造年月で確認する(古い方から使用する)ことにしていたが、入荷後シリアル番号を記した後、小さい数字から使う、ことに改善して、納得いただいた。)

のような感じで、結構「微に入り細に入り」の指摘、指導でした。

しかしながら、当時の携帯電話をリードしている世界的メーカからの指摘は、「納得感のある」ものでした。

 

顧客は顧客で、様々なサプライヤーへのAuditによって、各社の良いところ、弱いところを学習して、

良いところを、他のサプライヤーに指導して、全てのサプライヤーの高度化、均質化を進めていたのであろう、と想像します。

 

ちょっと余談となりますが、スウェーデンに本社があったE社の担当者数名についての思い出です。

スウェーデン人は、一般に、「大きい」人が多いようで、「クリーンルーム」見学用に、用意したクリーンウェアのサイズは初めて購入した「4L」、

当然、身長も高かったので、工程の説明で首が痛くなりました。その時点ではクリーンウェア着用の経験が少なったようで、記念撮影を求められました。

新製品QCD(9)【新製品増産時への対応⑥<工法の大変更③>】

前回まで、「誰もが経験する?工法の大変更」の2例について述べてきました。今回は、工法の原理は変えていないので、大変更とは言えないかも、ですが、原理以外は、相当変化した工法ということで、一応3例目として、記します。

 

それは、圧着工程です。

穴明け、印刷を経たシートは、圧着金型内に、積層方向(積み重ねる方向)で位置ずれしないように、打ち抜きされて、所望とする積層数となった後、100℃程度の温度に加熱されて、上下方向に(実際は、上方向から)圧力がかかって(プレスして)、積層方向に隣接するシートが、熱圧着されます。温度によって、より変形しやすくなったシートとシートの界面で、表面近傍の樹脂が互いに接着する原理と理解しています。

熱圧着直後は、圧着した積層体は、脆くて、すぐにハンドリングできないため、ほぼ室温まで冷却した後、金型から積層体を取り出します。

 

実際の生産となると、主に、

1)1つの金型セットに1つの積層体となると処理量が制限される、

2)金型を加熱して、プレス後、冷却する時間が長時間となる、

の主要因によって、生産量を増加できない状態となっていました。

 

いろいろと、調査、検討したところ、

「金型内に積層体を収めて、熱圧着する」という基本原理はそのままなのですが、

<温水のCIP(Cold Isostatic Press冷間等方圧プレス)>

を導入することで、

1)バッチ処理ですが、CIPの加圧層内に金型の多数個処理、

2)金型全体に等方的に圧力がかかるので、金型を薄型軽量品への変更、

3)常に加温されたCIP加圧槽に、金型を出し入れするために、加熱・冷却時間を劇的に短縮、

とすることができ、生産量の大幅アップを達成できました。

 

設備導入に際して、圧着の温度を90℃であれば、水(湯)を使用できるのですが、100℃以上では、シリコンオイルが圧力媒体となるため、作業性で雲泥の違いがあることが明白でした。

そこで、それまでの条件120℃の温度を90℃に低温化しても、圧着で問題無いようにする検討が必要でした。

他に、金型含めて真空パックすることや、実際の金型形状の最適化、など、検討が必要でした。

 

この工程変更も、顧客の数量要求+QCDへの対応のため必要であったことは明らかでした。

新製品QCD(8)【新製品増産時への対応⑤<工法の大変更②>】

今回は「誰もが経験する?工法の大変更」の2例目として、穴明け工法を、従来からのパンチ・ダイ(金型)方式から、レーザー方式への変更について述べます。

 

この2例目は、1例目と関連があります。

つまり、従来のSUS枠方式では、穴明けはシートのみを貫通させれば良かったのですが、シートとキャリアフィルムを一体としてハンドリングするということは、シートだけは無くて、より強度が大きいキャリフィルムも穴明けする必要が生じました。

このため、パンチとダイでの打ち抜きは、パンチとダイ(金型)への負担が増大し、金型の交換やメンテの頻度、工数が激増しました。

キャリアフィルムの材質はPETでしたが、樹脂に「粘り」があって、「切れ良く」打ち抜く条件がシートのみに比べると、狭い管理範囲であって、管理工数、メンテ工数が増加する主な理由でした。

結局、メンテ等が追い付かず、穴明けが不十分となって、不具合が発生することも頻発しました。

 

そのような状況の中で、セラミックグリーンシートの穴明けに、CO2レーザーが使える(普及しつつある)との情報を得て、レーザー装置メーカの選定含めて検討を進めて、その結果、少なくともシートの穴部分は十分に除去(貫通)できる(他方、キャリアフィルムは完全な除去(貫通)は不要。)ことが実証できて、工法を変更して、工程に導入しました。CO2レーザーは、それなりに新たな管理項目が必要でしたが、それまでのパンチとダイに比べると、メンテ工数が激減し、処理能力も大幅アップして、新工法の実力に驚きました。

新製品QCD(7)【新製品増産時への対応④<工法の大変更①>】

今回も3次以降の投資で経験することが多いと推測します。

「誰もが経験する?工法の大変更」について記します。

 

新製品QCD(1)と(2)で、新製品の工程は、「失敗」を避けるために、実績のある設備や材料でスタートすべきと述べました。当然のことですが、「工法」についても同様に実績ある工法を採用します。

 

しかしながら、3次以降の投資を行うフェーズとなると、各工程のリードタイム等が把握できてくるため、「この工程は、今後の増産において、n倍化等では、到底、リードタイム、コスト、等が合わなくなる。」と感じる工程を認識するようになります。

 

私が経験した2例について記します。

1例目は、ステンレス製の枠(SUS枠)での位置合わせから、SUS枠無しへの変更です。

セラミック積層部品は、セラミックグリーンシートを成形後、グリーンシートに、穴明け(ビアホールまたはスルーホール形成)した後、所望とする内部電極パターンをスクリーン印刷することで、セラミックス内部に、3次元の配線構造が可能となるのですが、シートに対して、穴明けの位置、印刷の位置を再現性良く「合わせる」ことが必要です。積層時も積層方向に隣接するシートの位置を「合わせる」ことが必要です。

 

このため、シート成形後、キャリアフィルム(PETフィルム)からシートのみを剥離して、ステンレス製の枠(SUS枠)に糊付けして、ハンドリングをしていました。SUS枠を位置合わせの基準として、穴明け、印刷を行い、積層時に、位置ずれしないようにSUS枠から外されて(打ち抜かれて)、圧着され、積層体として一体化されます。

 

このSUS枠は、ハンドリングされるために、ある程度の機械的強度、繰り返し耐久性、などが必要のため、シートの十倍以上の重さがありました。

また、積層時にシートがSUS枠から外された後、枠に糊付けされたシート残部の除去、洗浄などの工数が必要でした。手作業での限界によって、ある時期から「SUS枠洗浄装置」も導入していました。

増産するに伴って、SUS枠であふれる、状態となっていました。

 

SUS枠の「窓」の大きさによって、製品となる面積が決まるため、更に増産するためには、この「窓の面積」を大きくする必要あります。

種々検討した結果、縦横共に2倍にして、面積4倍化を進めることになりました。

 

SUS枠での面積4倍化を「味見試作・実験」したところ、その<重さ>、そして、SUS枠からシートを打ち抜く際に必要な<力>の感触によって、これでは実用化できない、との結論に至りました。

従来より「でかくて重い」SUS枠が工場にあふれることも想像できるものではありませんでした。

現場から理解も得られないことは明白でした。

 

結局、採用した工法は、

シートをキャリアフィルムから剥離することなく、「シートとキャリアフィルム一体」の状態で、積層工程まで、ハンドリングする工法でした。

穴明け工程で、全てのシートに位置合わせ用の穴を空けて、その穴を基準に、後工程である印刷などを行う、こととなりました。

文章で書くと、さらっと数行となりますが、この大変更に伴う種々検討事項は相当量ありました。

しかし、何とか、当初の面積4倍化を達成し、増産可能となりました。

 

次回は、穴明け工法を、従来からのパンチダイ方式から、レーザー方式への変更について述べます。

新製品QCD(6)【新製品増産時への対応③<3次以降の増産投資>】

前回、最初の投資と次の投資について、述べました。2次に至る投資が終わると、生産現場は、それなりにQCDを議論できる体制が整った感じでしょうか。現場の人数も増えて、小集団活動や、安全活動などが、月のスケジュールに入ってくるのではないでしょうか。

 

今回は、更なる投資(3次以降といいます。)をする場合について記します。

2次までの設備投資で、致命的な不具合が見つかった設備でない限り、3次では、同様の設備導入(=n倍化とよく言います。)が最も効率的と考えます。同様の設備であれば、最低限の条件検討で現場に導入でき、また、現場の作業者への新たな教育訓練などが不要となるためです。

 

悩ましいのは、シート成形や焼成など、連続処理の設備です。生産効率を考えると、例えば、焼成炉で試料投入から終了まで(INからOUT)が、24時間かかるとすると、焼成炉の長さを2倍にすると、同じ温度プロファイルを採るのであれば、同様に24時間かかる設定となります。つまり、2倍の速度で試料は動くため、2倍の処理量が得られる(生産性が2倍になる)ことなります。

しかしながら、ただ長さを2倍にして、炉内のガス雰囲気制御の間隔など、単純に2倍の位置に設置すれば良いかというと、実際は、「大きく構造が異なる炉」との認識で、種々条件検討が必要となるのが現実です。前記2倍は、極端な例ですが、条件検討もあまり負担にならないであろう1.2倍とか、1.3倍にしたい気分は当然です。今後予想される生産量、工場の面積・レイアウトの制約、など総合的に判断する必要があります。

 

n倍化のメリットは、増産時は実感できませんが、顧客の在庫調整などによって、受注量=生産量が、ある期間落ち込む時、稼働する台数を減らすだけで、対応できることです。

前回最後の方で述べたクリーンルーム設備等、環境に関する設備についても、同様であって、生産現場全体を制御するのではなくて、現場を間仕切りして、受注減の時に停止する設備の空間は、制御範囲から外せるような設計にすることよって、受注減のダメージをいくらか抑えることができます。

 

以上、原則n倍化がお薦めの話をしてきましたが、設備はn倍化ですが、設備と設備(工程と工程)と繋ぐ部分や、仕掛在庫、外段取り、内段取り、など、2次までの設備で、いろいろと明らかになった工程間や設備間の課題を解決するタイミングとしても活用すべきでしょう。コストCと納期Dに結構効いてきます。

新製品QCD(5)【新製品増産時への対応②<最初の投資規模と次の増産投資>】

今回の一つ目は、最初の投資規模の考え方についてです。

何とか開発・試作のフェーズから、生産工場(会社)のフェーズとなって、お客からサプライヤーとして認めていただいた後は、お客様は市場予想に基づいて、滞りない部品供給の数量を求めてきます。

お客様からの予想数量に対して、実受注数量は、経験的に、数か月前の数字である(予想に対して、相当少ない)ことが多くありました。

従って、工場の生産キャパ(能力)を、どの程度に想定して、設備投資をするか、は増産基調であっても、いつも大変悩ましいものでした。

考え方の一つとして、受注の実績ベース(と確度の高い営業情報)から予想できる数量を、昼間勤務(実働8時間)で可能な設備とする、があります。

であれば、概ね3倍の受注までは、昼夜24時間勤務で対応可能となるためです。

実際は、前回記した、連続運転で生産性が上がる、シート成形や焼成工程を、どう操業するかの工夫が必要です。

また、工場として利益(黒字)が確実に安定に確保できるようになったのは、定常的に24時間操業できるようになってからでした。

 

次は、増産投資についてです。

上記の最低限の設備投資後、これたま幸運にも、顧客が増えたり、受注量が増えてくると、再度設備投資をすることとなります。

生産工程が、安定してくると、前後の工程の処理能力含めて、それぞれの工程で、どの程度の処理量を1バッチ処理すれば効率が良いかについて、プロセス技術者が合意できるような案が自然とでてくるものです。

従って、バッチ処理の工程は、効率が良いと思われる処理量の設備での増産が好ましいように思います。

同様に、連続処理の工程であっても、同様に効率の良い処理量の見積もりが可能と思います。

但し、設備の金額は、ある処理量を超えると、跳ね上がる場合もあるので、予め概略の設備金額も聞いて検討、判断すべきでしょう。

 

実は、この増産投資の頃から、電子部品に限らず、高品質を維持するためには、

生産する環境、つまり、クリーンルームであるとか、少なくとも、温度・湿度制御の作業環境とか、

設備への冷却巡回水の温度管理とか、更には、電源の質(電圧安定性)とか、などなど、

生産設備そのものではなくて、生産する環境やユーティリティに関する投資も具体的に検討することが必要と考えます。

新製品QCD(4)【新製品増産時への対応①<連続処理>】

今回から、生産を始めた新製品が、様々な環境に恵まれて、幸運に恵まれて!受注量が増えてくると、各工程の生産キャパを増加させて、お客様の要求する納期Dと数量に応えていく必要があります。

 

最初に対応することとして、連続処理によって、生産性の向上が大きく期待できる工程で、バッチ処理から連続処理への変更です。

セラミック積層部品では、シート成形を連続成形とし、仮焼と焼成をバッチ炉から連続炉への変更を最初に行いました。

それまでのバッチ処理でのシート成形では、ドクターブレード法と呼ばれる成形機ですが、どうしてもシート厚さが始まりと終わりで、ばらつきがあって(最初が厚く、最後が薄い)、シートの成形方向で、使用できる長さよりも、捨てる長さが大きい、状況でした。

連続成形を始めると、シートの厚さばらつきが本当に小さくなって、かつ、捨てる長さも無視できる程度となって、感動したことを思い出します。

焼成では、特殊なガス雰囲気である場合や、焼成温度が1500℃超?の高温である場合を除いて、連続炉の生産性が優れていると思います。実験、試作レベルの量を超えると、バッチ炉では「生産は無理」の感覚を持っています。

 

シート成形でも焼成でも、連続処理によって、生産量を飛躍的に増加できました。

それだけではなくて、「品質Qが安定する(安定化させやすい)」ことを実感しました。

つまり、連続処理によって、例えば、シート成形であれば、成形時間とシート厚さの関係や、シート幅方向の厚さばらつきの傾向、など測定値がリアルタイムで得やすく、工程条件にフィードバックしやすいこととなります。

焼成においても、焼成位置と部品の特性との相関などのデータが採取、フィードバックできるようになりました。

新製品QCD(3)【新製品開発では最新の分析装置・解析装置を活用する】

前々回、前回と、新製品開発では、外部から購入する「もの」は、実績豊富なサプライヤーから安定製造されているグレードを選択する、「設備」は、同業・競合他社へ実績のある装置メーカから、実績のある仕様・構造の設備を導入する、ことを記しました。

今回は、新製品開発での、不具合の解析・対策には、その時点での最新の分析装置・解析装置を活用できると、その開発スピードを向上できることを述べます。

 

従来製品では、必要としていなかった分析装置・解析装置ですが、新製品開発においては、これらが無いと、「本当に開発が進まない」「不具合が発生しても、何が原因で、どうすれば対策できるか、が分からない」状況となります。

とは言っても、これらの装置は高価であって、かつ、生産設備とは直接関係無いため、その導入予算の獲得には、ハードルが高いと言えるでしょう。

 

そこで、有効と思われる分析装置・解析装置を見つけたら、実際の不具合品と良品の「もの」を持って、各装置メーカのデモ機での評価をしてもらいましょう。有効であれば、厚かましく、何度でも依頼しましょう。将来のお客となる可能性が高いので、相当の無理も聞いてくれます。

(実際に、お客様への不具合品の調査報告に、装置メーカさんのデモ機での評価結果を多数!使ったことがあります。。。)

 

同様に、地方自治体の財団法人が運営している「技術センター」等(名称はいろいろ)が持っている装置も結構最新の設備が導入されていることもあります。ネット検索して、活用しましょう。

 

90年代半ばに、私が今も居住している鳥取に埼玉から転勤して、携帯電話用のセラミック積層部品の開発を開始したのですが、当時子会社の工場で、本当に、分析装置等が貧弱でした。SEM(走査型電子顕微鏡)はありましたが、FE(フィールドエミッション)タイプではなくて、フィラメントタイプであって、その倍率、像の明瞭度等で不十分でした。

ということで、開発予算を提案して、数年間かけてFE-SEM/EDS、XRD(X線回折装置)、TG/DSC/TMA(熱分析装置)など導入し、開発型の工場になったのではと自負していました。

特に、衝撃的に有効だったのが、当時、X線関連で強いメーカ数社が新製品として出始めていた「X線透視装置」でした。セラミック積層部品内部の配線部分の断線を一目瞭然で検出できることが分かって、部品内部の欠陥評価にはすごい戦力となりました。

それと、「超音波イメージング装置」でした。積層部品なので、その積層界面が本当にきちんと接合されて一体化された部品となっているかの評価方法が無かったのですが、部品を水の中に浸漬する必要がありますが、積層方向での剥離部分に対して、感度良く検出することができるようになりました。

 

最後に、未だ世の中に普及しきってないような、または、最新の分析装置・解析装置による評価結果で、お客様への不具合品の調査報告をすることで、部品メーカ(サプライヤー)としての技術レベルを評価される(高評価が得られる)ことが多かったように思います。お客様は、多くの部品メーカからの調査報告書を目にすることが多いと推測しますが、新たな評価装置によって、不具合原因を特定し、対策したことに対して、一目置いてくれるようです。