新製品QCD(6)【新製品増産時への対応③<3次以降の増産投資>】

新製品QCD(6)【新製品増産時への対応③<3次以降の増産投資>】

前回、最初の投資と次の投資について、述べました。2次に至る投資が終わると、生産現場は、それなりにQCDを議論できる体制が整った感じでしょうか。現場の人数も増えて、小集団活動や、安全活動などが、月のスケジュールに入ってくるのではないでしょうか。

 

今回は、更なる投資(3次以降といいます。)をする場合について記します。

2次までの設備投資で、致命的な不具合が見つかった設備でない限り、3次では、同様の設備導入(=n倍化とよく言います。)が最も効率的と考えます。同様の設備であれば、最低限の条件検討で現場に導入でき、また、現場の作業者への新たな教育訓練などが不要となるためです。

 

悩ましいのは、シート成形や焼成など、連続処理の設備です。生産効率を考えると、例えば、焼成炉で試料投入から終了まで(INからOUT)が、24時間かかるとすると、焼成炉の長さを2倍にすると、同じ温度プロファイルを採るのであれば、同様に24時間かかる設定となります。つまり、2倍の速度で試料は動くため、2倍の処理量が得られる(生産性が2倍になる)ことなります。

しかしながら、ただ長さを2倍にして、炉内のガス雰囲気制御の間隔など、単純に2倍の位置に設置すれば良いかというと、実際は、「大きく構造が異なる炉」との認識で、種々条件検討が必要となるのが現実です。前記2倍は、極端な例ですが、条件検討もあまり負担にならないであろう1.2倍とか、1.3倍にしたい気分は当然です。今後予想される生産量、工場の面積・レイアウトの制約、など総合的に判断する必要があります。

 

n倍化のメリットは、増産時は実感できませんが、顧客の在庫調整などによって、受注量=生産量が、ある期間落ち込む時、稼働する台数を減らすだけで、対応できることです。

前回最後の方で述べたクリーンルーム設備等、環境に関する設備についても、同様であって、生産現場全体を制御するのではなくて、現場を間仕切りして、受注減の時に停止する設備の空間は、制御範囲から外せるような設計にすることよって、受注減のダメージをいくらか抑えることができます。

 

以上、原則n倍化がお薦めの話をしてきましたが、設備はn倍化ですが、設備と設備(工程と工程)と繋ぐ部分や、仕掛在庫、外段取り、内段取り、など、2次までの設備で、いろいろと明らかになった工程間や設備間の課題を解決するタイミングとしても活用すべきでしょう。コストCと納期Dに結構効いてきます。

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