今回の一つ目は、最初の投資規模の考え方についてです。
何とか開発・試作のフェーズから、生産工場(会社)のフェーズとなって、お客からサプライヤーとして認めていただいた後は、お客様は市場予想に基づいて、滞りない部品供給の数量を求めてきます。
お客様からの予想数量に対して、実受注数量は、経験的に、数か月前の数字である(予想に対して、相当少ない)ことが多くありました。
従って、工場の生産キャパ(能力)を、どの程度に想定して、設備投資をするか、は増産基調であっても、いつも大変悩ましいものでした。
考え方の一つとして、受注の実績ベース(と確度の高い営業情報)から予想できる数量を、昼間勤務(実働8時間)で可能な設備とする、があります。
であれば、概ね3倍の受注までは、昼夜24時間勤務で対応可能となるためです。
実際は、前回記した、連続運転で生産性が上がる、シート成形や焼成工程を、どう操業するかの工夫が必要です。
また、工場として利益(黒字)が確実に安定に確保できるようになったのは、定常的に24時間操業できるようになってからでした。
次は、増産投資についてです。
上記の最低限の設備投資後、これたま幸運にも、顧客が増えたり、受注量が増えてくると、再度設備投資をすることとなります。
生産工程が、安定してくると、前後の工程の処理能力含めて、それぞれの工程で、どの程度の処理量を1バッチ処理すれば効率が良いかについて、プロセス技術者が合意できるような案が自然とでてくるものです。
従って、バッチ処理の工程は、効率が良いと思われる処理量の設備での増産が好ましいように思います。
同様に、連続処理の工程であっても、同様に効率の良い処理量の見積もりが可能と思います。
但し、設備の金額は、ある処理量を超えると、跳ね上がる場合もあるので、予め概略の設備金額も聞いて検討、判断すべきでしょう。
実は、この増産投資の頃から、電子部品に限らず、高品質を維持するためには、
生産する環境、つまり、クリーンルームであるとか、少なくとも、温度・湿度制御の作業環境とか、
設備への冷却巡回水の温度管理とか、更には、電源の質(電圧安定性)とか、などなど、
生産設備そのものではなくて、生産する環境やユーティリティに関する投資も具体的に検討することが必要と考えます。