(21)の図の説明を続けます。
今回は、
4)製品化後:<【他社】 登録特許の>無効資料調査
です。
製品化後に限らず、開発途中でも、「どうもこの特許の技術的範囲に入っているかも」の特許が見つかることがあります。
でも、その特許に無効理由がある場合、より具体的には、新規性または進歩性が欠如している場合、特許は無効化することができます。
無効理由として、誰もが(少なくとも、審判官や裁判官が)納得可能な資料があれば、「特許無効審判」をすれば、その特許を無効にすることができることになります。
しかしながら、現実的には、無効資料を準備し、弁護士や弁理士に「無効である鑑定書」を作成してもらって、<その特許は無効=無いと同じ>の前提で、事業を開始することもあると思っています。
他方、無効化が難しいとなると、ライセンス契約の提案となるのが通常でしょう。
ライセンス契約では、自社が、どれだけ有効な特許=相手(他社)から見て障害となりそうな特許、を持っているか、で有利な交渉を進めることができます。クロスライセンス契約になり得ます。
また、1件だけの特許許諾交渉は稀で、関係する複数の特許を対象になされることが多いでしょう。
出願の期間を決めて対象特許としたりします。
無効資料調査では、
一般に検索対象である「特許文献」は、審査で調査対象となっているため、
更に「特許文献」を検索・調査しても、有効な文献を見出すことは、困難です。
そこで、審査では(公知文献としての)調査対象とされることが稀な:
・専門書、学術文献、学会資料
・発明者の学位論文(博士論文)
・当時の自社や同業他社の技術資料・カタログ
など、入手可能であれば、何とか入手して、その内容を検討することとなります。
学会資料は、「発表時のみ」公にされるので、自社発表資料は、後々を考えて、きちんと保存しておくのが良いでしょう。
学位論文は、国立国会図書館に所蔵されているので、複数回に分ければ、全ページのコピーを取ることできます。
「もの」の特許の場合、(出願前に提出されていた)学位論文の実験方法の記載と、特許明細書の実施例の記載とが、実質的に一致しているのであれば、出願時前に、既に「もの」は存在していた蓋然性(がいせんせい)が高い、という主張が可能となって、新規性欠如となって、特許無効となり得ます。
上記は、「資料」での無効化についてですが、
例えば、日本の「もの」の特許であっても、出願前に、アメリカで「もの」として存在していることを証明できれば、その日本特許は、同様に新規性無しで、特許無効となり得ます。