新製品QCD(12)【電子部品のクリーン環境①クリーン環境必要性の本質の理解】

新製品QCD(12)【電子部品のクリーン環境①クリーン環境必要性の本質の理解】

クリーン環境について、少し述べてきましたが、現場レベル含めて、記していきます。

 

セラミック電子部品では、部品の内部に配線等が存在するため、塵埃や異物によって配線に欠陥を生じさせ、その結果、製品の特性劣化に至る。その対策として、クリーン環境での生産が必要となるが、費用対効果を考慮し、塵埃等が起因の不良品発生の抑制を目指した実践的なクリーン化についての考え方を述べる。

 

〇「形」からの導入の限界

携帯電話用のセラミック積層部品に新規参入し、顧客への製品生産を開始した。「文献等の情報に基づいて」セラミックシート成形工程やスクリーン印刷工程等、クリーン環境が必要とされる工程にはクリーンブースを導入して、作業者にはクリーンウェアを着用させて生産を開始した。しかしながら、最終検査にて、内部配線の断線と思われる不良が、ある一定頻度で発生していた。断線不良品を断面研磨などによって、その断線箇所を特定したところ、同じロットでの不良品は、全て同様の箇所での断線であること判明した。更に、X線透視装置で観察した結果、断線の形態も同様であることが判明した。結論として、スクリーン印刷時に、被印刷体のセラミックグリーンシート上に、髪の毛等の細長い異物が付着し、最初の印刷で、印刷スクリーンのシート接触面の印刷パターン部分に異物が張り付き、印刷スクリーンの導電パターンの一部をマスキングする作用によって、同一の箇所での断線が発生していたと推測できた。

上記の経験で得た教訓は、通常の環境よりクリーンな環境での作業という「形」で入るのでは無くて、不良品・不具合品を発生させないために、クリーンな環境が必要であって、塵埃や異物による不良品の抑制のためには、与えられたクリーン環境下での作業を行うだけでは不十分であるということであった。

 

〇クリーン化の本質(目的)

以上述べた通り、クリーン化の本質=目的は、クリーンルームやクリーンウェアを導入適用することではなくて、塵埃等による製品不良の低減・抑制である。従って、製造工程に、塵埃や異物をできるだけ持ち込まないようにして、直接、製品への影響を無くする、少なくとも低減できるかということである。

当然ながら、クリーンルームやクリーンブース等、クリーン環境を構築し、維持するには新たなコストが発生する。費用対効果を常に意識しながら環境を整備し、推進していく必要がある。更には、生産量の増減(変動)に対処できるようなシステムを目指すことが望ましい。

より具体的には、「楽観的な将来の生産量を前提に、」必要と思われる工程・設備、作業スペースをクリーンルーム仕様になるように従来工場の一部を改築・改造すると、その初期投資、及び常にルーム内の正圧(空気が部屋から外に流れる)を維持するエアコンの導入費用や運転費用は相当の金額となる。将来有望な新製品であっても、順調に立ち上がる見込みは決して高くはなく、前記費用の負担は事業の継続に大きく影響する。

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