新製品QCD(3)【新製品開発では最新の分析装置・解析装置を活用する】

新製品QCD(3)【新製品開発では最新の分析装置・解析装置を活用する】

前々回、前回と、新製品開発では、外部から購入する「もの」は、実績豊富なサプライヤーから安定製造されているグレードを選択する、「設備」は、同業・競合他社へ実績のある装置メーカから、実績のある仕様・構造の設備を導入する、ことを記しました。

今回は、新製品開発での、不具合の解析・対策には、その時点での最新の分析装置・解析装置を活用できると、その開発スピードを向上できることを述べます。

 

従来製品では、必要としていなかった分析装置・解析装置ですが、新製品開発においては、これらが無いと、「本当に開発が進まない」「不具合が発生しても、何が原因で、どうすれば対策できるか、が分からない」状況となります。

とは言っても、これらの装置は高価であって、かつ、生産設備とは直接関係無いため、その導入予算の獲得には、ハードルが高いと言えるでしょう。

 

そこで、有効と思われる分析装置・解析装置を見つけたら、実際の不具合品と良品の「もの」を持って、各装置メーカのデモ機での評価をしてもらいましょう。有効であれば、厚かましく、何度でも依頼しましょう。将来のお客となる可能性が高いので、相当の無理も聞いてくれます。

(実際に、お客様への不具合品の調査報告に、装置メーカさんのデモ機での評価結果を多数!使ったことがあります。。。)

 

同様に、地方自治体の財団法人が運営している「技術センター」等(名称はいろいろ)が持っている装置も結構最新の設備が導入されていることもあります。ネット検索して、活用しましょう。

 

90年代半ばに、私が今も居住している鳥取に埼玉から転勤して、携帯電話用のセラミック積層部品の開発を開始したのですが、当時子会社の工場で、本当に、分析装置等が貧弱でした。SEM(走査型電子顕微鏡)はありましたが、FE(フィールドエミッション)タイプではなくて、フィラメントタイプであって、その倍率、像の明瞭度等で不十分でした。

ということで、開発予算を提案して、数年間かけてFE-SEM/EDS、XRD(X線回折装置)、TG/DSC/TMA(熱分析装置)など導入し、開発型の工場になったのではと自負していました。

特に、衝撃的に有効だったのが、当時、X線関連で強いメーカ数社が新製品として出始めていた「X線透視装置」でした。セラミック積層部品内部の配線部分の断線を一目瞭然で検出できることが分かって、部品内部の欠陥評価にはすごい戦力となりました。

それと、「超音波イメージング装置」でした。積層部品なので、その積層界面が本当にきちんと接合されて一体化された部品となっているかの評価方法が無かったのですが、部品を水の中に浸漬する必要がありますが、積層方向での剥離部分に対して、感度良く検出することができるようになりました。

 

最後に、未だ世の中に普及しきってないような、または、最新の分析装置・解析装置による評価結果で、お客様への不具合品の調査報告をすることで、部品メーカ(サプライヤー)としての技術レベルを評価される(高評価が得られる)ことが多かったように思います。お客様は、多くの部品メーカからの調査報告書を目にすることが多いと推測しますが、新たな評価装置によって、不具合原因を特定し、対策したことに対して、一目置いてくれるようです。

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