新製品QCD(2)【新製品は実績製品で作る②】

新製品QCD(2)【新製品は実績製品で作る②】

前回は、新製品開発での、外部から購入する素原料紛等の材料、そして導入する製造設備の内、

「外部から購入する原料等の材料」について記しました。

今回は、「導入する製造設備・装置」についてです。

この場合も、材料と、考え方はほぼ同様ですが、具体的には以下の通りです。

つまり、

1)先行する他社、同業他社への導入実績の豊富な装置・設備メーカを、インターネット情報や、業界誌から抽出する。

2)実際に営業担当者と話をして、自社で予定している製造プロセスでの豊富な実績を確認する。

3)メーカが備えている予備検討用の設備を使って、実際に試運転を行ってみる。

この時、試運転担当者からのアドバイスや、設備への知識のレベルを確認して、設備導入後の課題対応力なども推し量る。

ことが大切でしょう。

<実際、設備投資が決まると、どこから情報を得たのか、設備メーカからアプローチが来ることもあります。が、上手い話には乗らないことです。>

 

特に、(私の経験では、)セラミック電子部品の焼成炉や、シート成形機は、各ユーザーで求める仕様が異なっていると推測され、種々のユーザー、様々な仕様への経験がある設備メーカであれば、豊富な過去の経験から「失敗の無い」備を提供してくれる可能性が高いと思っています。

 

・実際の失敗例として、

LTCC(低温焼成同時焼成セラミックス)含めて、セラミックス製品では、金属炭酸塩や金属酸化物である素原料紛を所望とする割合でボールミルによる湿式混合して、乾燥後、熱処理=仮焼(かしょう、または、かりやき、と呼ぶ)し、更にボールミル湿式粉砕後、乾燥することで、原料紛を作製します。

前記、湿式混合して、乾燥する装置としては、スプレードライヤーが一般的だったのですが、開発当初の生産場所の面積等の制約もあって、<新規な設備>である「媒体流動乾燥機」を導入しました。

(よくあることですが、)実験・試作レベルの量では問題は発生しなかったのですが、生産量(処理量)が増えてくると、乾燥後の塊を仮焼して、ボールミル湿式粉砕すると、粉砕不十分の粗粒が目立ってきて、結局、その粗粒の分離除去作業が必要となって、余分な工程を発生させてしまいました。その後、増産時には、スプレードライヤーに設備変更することで、余分な工程は無くすことができました。当初から<新規な設備>を導入しなければ、上記のような余分な検討・苦労は不要であったことは明らかです。

・当初の導入設備は良かったのですが、増設時の失敗例として、

セラミック多層基板、積層部品での焼成炉では、セラミックシートに含まれる有機バインダーを、焼成温度より低い温度領域で、熱分解・酸化させて除去させる必要があって、そのような構造となっています。

つまり、有機バインダーが熱分解・酸化されたガスを、炉外に排出する機能があります。ですが、排出するまでの配管などに、タール状となってデポしてきて、(水蒸気が結露するようなもの)生産量が増えれば増えるほど、定期的掃除など、これまた余分な作業が増えてきます。

焼成炉を増設する際、メーカ営業担当者から、タールを濃縮して除去する<新機能>を開発したので、今回の導入での新規採用を提案してきて、生産現場でも困っていたので、導入することにしました。

しかしながら、どうも新機能によって、炉外への排出するガスの流れに変化が生じてしまうようで、焼成後の製品品質にも悪影響を及ぼすことが明らかになりました。

結局、<新機能>を備えない、従来の構造に変更してもらって、一応、元の品質に戻すことができました。

現場での課題に対して、こうすれば解決できますよ!てな提案を設備メーカからされると、即採用したい、気分になってしまいますが、少し冷静になって、じっくりと、実績など調べて、かつ無視できない副作用はどうなのかとか、慎重に導入すべきだった例です。

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