クリーン化の本質を理解した上で、以下の手順で推進することが現実的と考える。 いきなりクリーン環境が必要な工程全てをクリーンルームで行うことは稀のケースと思われ、必要最小限な工程をクリーンブースで行うことが一般的と考える。
<クリーンブース導入前>
〇従来製品工場との差別化
電子部品等を生産した経験のない工場では、工場建屋内と外で、いずれも土足であるところも多いのではなかろうか。
・先ずは、工場建屋内に入ったところで、室内履きに履き替える仕組みとする。「電子部品製造工場にて土足厳禁」の表示も有効である。
・室内履きは、できれば塵埃が発生しにくく、汚れが目立つ白色系を採用する。(クリーンルーム仕様でなくてもOK。)
・床面塗装を、塵埃フリー仕様に変更して塗装する。
・従来からのエアコンのフィルタ等、できれば内部を清掃する。
上記について、次の段階として、工程の一部にクリーンブースを導入することになるが、クリーンブースの吸気口から周囲の空気を入れ込むため、周囲の空気が清浄であればあるほど、吸気口のフィルタの交換頻度等を減らすことができて有効である。
〇エア・窒素の供給配管のフィルタ設置等
塵埃や異物の無いエアや窒素が供給されるように、少なくとも供給口の直前に必要なフィルタ等を設置する。
更に、できれば後述するように、エアについては、塵埃とは関係無いが、製品の品質安定・維持のため、露点管理されたエアを供給できるようにする。
〇クリーンブースを想定した工程・スペースの差別化
当初からクリーンブースを複数台揃えて生産を開始することは、実際はコストとタイミングの問題で困難なことが多い。近い将来、クリーンブース導入されることを想定して、導電性有機フィルム(シート)で、工程・設備及びスペースに覆い囲みを設けて、スポットクーラー等で、囲みの中にできるだけ塵埃の少ない空気を送り込んで、内部が正圧(プラス圧力)になるような空間を設ける。
このスペースでは、クリーンウェア・クリーンシューズを着用して作業する。クリーンウェア等は、スペース内に置き場所を設定する。