幸いにも生産量(受注量)の増加、または、類似製品が増えると、対象となる工程全てをクリーンルームで行うこととなる。
〇全く異なるエアの流れへの対応
実体顕微鏡レベルで検知可能な塵埃・異物の抑制であれば、クリーンルームの仕様として、HEPAフィルタを備えて、正圧を確保するため、ルーム外部からエアを導入する機能を備えたパッケージエアコンで実現できる。
つまり、それぞれのクリーンブースではエアの流れが同様であったことに対して、エア流量(風速)や方向が全く異なる場所での生産となる。
従って、前記エアの流量と方向を考慮して、作業場所や設備のレイアウトの「再」適正化を行う必要がある。特に、パッケージエアコンからのエア吹き出し量が大きくなる(風速が速い)ので、その上下左右方向含めて吹き出す方向の検討が必要である。
更にパッケージエアコンの近傍の風速は比較的速くなるため、近傍の設備においては、風速の弊害が出ないようにする工夫を要する。
〇温度・湿度の制御
パッケージエアコンによるクリーンルームに移行することで、室温や湿度の制御が容易となる。
湿度制御は、温度のみ制御できるパッケージエアコンに比べて高額であるが、
年間を通して、品質を安定した生産を行うには、湿度制御可能な仕様にすべきである。
〇減産への対応
電子部品製造において、急激な減産要求(生産調整)を一定頻度で経験することが多いように感じる。
これに備えて、複数あるラインの一部を停止させる場合、フレキシブルに空間を分けて、その停止ラインに応じたパッケージエアコンも止めることが可能なレイアウト設計が好ましいと考える。