新製品QCD(9)【新製品増産時への対応⑥<工法の大変更③>】

新製品QCD(9)【新製品増産時への対応⑥<工法の大変更③>】

前回まで、「誰もが経験する?工法の大変更」の2例について述べてきました。今回は、工法の原理は変えていないので、大変更とは言えないかも、ですが、原理以外は、相当変化した工法ということで、一応3例目として、記します。

 

それは、圧着工程です。

穴明け、印刷を経たシートは、圧着金型内に、積層方向(積み重ねる方向)で位置ずれしないように、打ち抜きされて、所望とする積層数となった後、100℃程度の温度に加熱されて、上下方向に(実際は、上方向から)圧力がかかって(プレスして)、積層方向に隣接するシートが、熱圧着されます。温度によって、より変形しやすくなったシートとシートの界面で、表面近傍の樹脂が互いに接着する原理と理解しています。

熱圧着直後は、圧着した積層体は、脆くて、すぐにハンドリングできないため、ほぼ室温まで冷却した後、金型から積層体を取り出します。

 

実際の生産となると、主に、

1)1つの金型セットに1つの積層体となると処理量が制限される、

2)金型を加熱して、プレス後、冷却する時間が長時間となる、

の主要因によって、生産量を増加できない状態となっていました。

 

いろいろと、調査、検討したところ、

「金型内に積層体を収めて、熱圧着する」という基本原理はそのままなのですが、

<温水のCIP(Cold Isostatic Press冷間等方圧プレス)>

を導入することで、

1)バッチ処理ですが、CIPの加圧層内に金型の多数個処理、

2)金型全体に等方的に圧力がかかるので、金型を薄型軽量品への変更、

3)常に加温されたCIP加圧槽に、金型を出し入れするために、加熱・冷却時間を劇的に短縮、

とすることができ、生産量の大幅アップを達成できました。

 

設備導入に際して、圧着の温度を90℃であれば、水(湯)を使用できるのですが、100℃以上では、シリコンオイルが圧力媒体となるため、作業性で雲泥の違いがあることが明白でした。

そこで、それまでの条件120℃の温度を90℃に低温化しても、圧着で問題無いようにする検討が必要でした。

他に、金型含めて真空パックすることや、実際の金型形状の最適化、など、検討が必要でした。

 

この工程変更も、顧客の数量要求+QCDへの対応のため必要であったことは明らかでした。

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