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特許の重要性(19)【他社特許調査と対策⑩侵害/非侵害判断④】

今回は、侵害/非侵害の話に関連して、利用関係と特許性の話をまとめると、

以下の図のようになります。

特許の重要性(19)図

要は、特許の中に特許が含まれている関係が多くあって、(実際はもっと複雑!)

このため、「基本特許があれば大丈夫!安心!」てな話にはならないということです。

例えば、化学組成を規定した材料の基本特許があっても、

微量の添加物によって、格別な効果があったりすると、それは特許となる可能性大です。

また、製造方法の特許も成り立つし、その材料を使った応用製品の特許も成り立ちます。

基本特許も「もの」「製造方法」「その応用製品」更に、改良した「もの」、・・・と、

広範囲かつ重層化した特許網を構築できれば、一応「幾分は」安心できる基礎ができたと考えるべきでしょう。

この基礎の上に、開発の進捗に応じて、継続的に出願から権利化をしていく必要があると考えます。

そのための主役は、

アイデアが沸いて、実際にやってみて、その作用効果があれば、最優先で「即特許出願」へ向かうことができる研究者、技術者です。

でも、実際の技術者の数に比べて、特許出願に至ることができる

(つまり、課題を見つけて、解決策を見いだせて、従来とは異なる新規性・進歩性を主張できる発明であると論理立てれる)

技術者の人数(=発明者人口、とか言ったりします。)は、非常に低い率(1割以下、%オーダー)であることが現実のように感じてました。

特許の重要性(18)【他社特許調査と対策⑨侵害/非侵害判断③】

ところで、判断対象物件のことを、裁判では「イ号(いごう)」といいます。

では、以下、例2でBが円形物(装置ハ)として、

B‘が楕円形物(装置ニ)では?侵害/非侵害どちらでしょうか?

<例2>

特許の重要性(18)例2

判断は、特許法70条2項に「特許発明の、明細書や図面の記載から、その用語の意義を解釈する。」との記載に基づきます。

従って、例えば、明細書に、「ここで円形とは、真円のみならず、楕円形や、輪郭の一部が変形した円形も含む・・・」の記載があったり、

さらに、実施例に楕円の記載があれば、

楕円形も含まれると解釈されます。

 

しかしながら、

例えば、新たな開発装置の機構が、登録特許を侵害しているかどうかとか、

実際の侵害判断は困難である(技術者だけで判断できない)ことが多い。

⇒問題となりそうな特許を見出したときは、技術者自身1人で判断するのではなくて、

上長・知財担当者に情報を上げて、早めの対応が大切です!

「その特許、非常に問題ありそう。」との社内判断であれば、社内に留まらず、

外部の弁理士・弁護士の判断・鑑定に至る場合も多い、というか、お勧めです。

特許の重要性(17)【他社特許調査と対策⑧侵害/非侵害判断②】

ところで、判断対象物件のことを、裁判では「イ号(いごう)」といいます。

では、以下、例2でBが円形物、B‘が楕円形物では?侵害/非侵害どちらでしょうか?

<例2>

特許の重要性(17)例2

判断は、特許法70条2項に「特許発明の、明細書や図面の記載から、その用語の意義を解釈する。」との記載に基づきます。

従って、例えば、明細書に、「ここで円形とは、真円のみならず、楕円形や、輪郭の一部が変形した円形も含む・・・」の記載があったり、さらに、実施例に楕円の記載があれば、

楕円形も含まれると解釈される。

 

しかしながら、

例えば、新たな開発装置の機構が、登録特許を侵害しているかどうかとか、

実際の侵害判断は困難である(技術者だけで判断できない)ことが多い。

⇒問題となりそうな特許を見出したときは、技術者が判断するのではなくて、

上長・知財担当者に情報を上げて、早めの対応が大切です!

・社内判断に留まらず、外部の弁理士・弁護士の判断・鑑定に至る場合も多い、というか、お勧めです。

特許の重要性(16)【他社特許調査と対策⑦侵害/非侵害判断①】

今回から、しばらくは、自社の製品が、他社の特許を侵害している=他社特許の技術的範囲に含まれている、かどうかの判断について述べます。

 

【基本】は、「特許請求の範囲」「請求項」の構成要件に分解して判断する、ことを行います。

判断対象物件が特許発明の構成要件を全て満たしている

=一致していれば、侵害と判断します。⇒オールエレメントルールと言います。

以下、例1では、X社製品Pは非侵害、Y社製品Qは侵害している判断となります。

<例1>

特許の重要性(16)例1

特許の重要性(15)【他社特許調査と対策⑥特許とは⑥】

今回は、PDF1ページ目、2ページ目、共に出ている「優先権主張」について記します。

 

特許は、先願主義といわれていて、同じ内容の出願があった場合、出願が最も早いものが勝ち、です。

従って、なるべく早く出願して、「出願日を確保」することが重要です。

しかし、とは言っても、本当はもう少し、実験や試作をしてみて、有効な範囲をしっかりと確かめたい=時間が欲しい、という現実があることも多いと思います。

 

そこで、実験や試作した「結果予想」を含めた、出願を、とりあえず行って、

出願後、実際の実験・試作「結果」を盛り込んで、

先に出願した特許を「優先権主張」して、

1年以内に再度「出願」することを良く行います。

PCT出願では、先の日本の出願を優先権主張します。

(費用節約のため、1年以内に出願した、類似の複数の出願を優先権主張する場合もあります。)

 

ポイントは、

1)先の出願と、後の優先権主張を伴う出願とで、「技術的思想」が同じか、です。

つまり、発明=請求項の内容が実質的に同じか、です。

2)また、先の出願で、「AとBとCを備える○○」があって、

後の出願で、「AとBとXを備える〇〇」があったとすると、

ABCは、先の出願日=優先日で新規性などの判断がされて、

ABXは、後の出願日で新規性などの判断がされる、

こととなります。

 

実務的には、1年といっても、発明者にとって、それほど時間は無い感じで、

・実施例や比較例を増やす、

・請求項の従属項を増やす、

・「もの」の特許であれば、「製造方法」の特許(請求項)も入れる、

程度でしょうか。

 

PCT出願する場合、本来は、上記内容を増やしたかったけれど、文章(文言)を増やすことも無く「そのまんま」出願した経験も結構ありました。。。

特許の重要性(14)【他社特許調査と対策⑤特許とは⑤】

前回は、前々回添付したPDFの1ページ目、つまり、日本出願について説明しました。

今回は、PDF2ページ目の、外国出願の内、PCT出願について説明します。

 

〇2ページ目のポイント;

0)ずいぶんと昔、30年前位?は、外国出願は、日本国内出願の後、出願しようとする国の言語に翻訳した後、日本出願の12ケ月以内に、優先権主張して、

外国の特許庁に直接出願するようなこともやっていましたが。。。

1)今は、PCT出願が一般的です。

2)日本出願の12ケ月以内に、

優先権主張して、

PCT条約加盟国すべてに、出願したと同様となる、

PCT(国際)出願を、日本特許庁に「日本語」で行うこととなります。

3)PDF2ページに記載の通り、いろいろとメリットありますが、

赤枠で示した、優先日=日本出願日から30ケ月まで、

国内移行=各国への出願、の時間的猶予があることです。

実際にどの国(日本も含めて)に出願するか(翻訳する費用や各国での出願費用)を考えたり、

その出願=発明の価値(重要性)は、日本出願時に比べて、どうだろうか、とか判断できる時間があることとなります。

4)出願国=(国内)移行国としは、自国(日本)、市場のある(輸出(予定))国、競合がいる国、将来製造拠点の計画がある国、などで判断することが一般的でしょうか?

5)PCT出願では、

左列に記載のように、「条約〇条補正」とかありますが、先ずやることは無いです。

私は、100件近く処理しましたが、ゼロでした。

(代理人=特許事務所に問い合わせても、有用性を主張するところはありませんでした。)

6)PCT出願では、(日本出願と同様に優先日から)18ケ月後に国際公開(WEB上に)されますが、

その書式の中に、「国際調査報告ISR」があって、日本の特許庁審査官が、特許性(新規性・進歩性・産業上の利用可能性)についての判断が示されます。

この判断は、日本の特許庁審査官がしているので、

日本へ移行した場合、審査結果が示されているとみて良いでしょう。

ここで、(産業上の利用可能性で否定されることはほぼ無いので)新規性と進歩性が認められているのであれば、

日本出願について、早期審査請求すれば、それこそ即、特許査定となります!

特許の重要性(13)【他社特許調査と対策④特許とは④】

前回添付したPDFの説明をします。

〇1ページ目のポイント;

1)特許出願から1年6ケ月で公開となって、公開公報が発行される。

2)審査請求の期限は、出願から3年以内。

(審査請求しなかったら、「未請求取り上げ」となる。)

3)審査請求すると、今は1年ちょっとで、「拒絶理由通知」が来て、「補正書」・「意見書」で応答することとなります。

いきなり、拒絶理由が無くて、「特許査定」の可能性ゼロではありませんが、私の経験では、100件に1,2件程度の感じでした。

4)通常は、拒絶理由通知に対して、「補正書」(拒絶の理由を解消するために、実質的には特許請求の範囲を狭めた(減縮する、という)、「特許請求の範囲」に補正する。)と、拒絶の理由は解消した主張の「意見書」を提出して応答することが多い。

結構あるのが、審査官が、勘違いしていたり、進歩性を否定するための引用文献(引例、ともいう。)が不適当であったりすると、「意見書」だけで、応答することもありました。

5)補正書提出後、審査官が「拒絶の理由を発見しない」となると、「特許査定」となって、特許料を収めると(最初は3年分。でも安い。年次が上がると、額も上がる。)、設定登録されて、特許公報が発行されます。

6)意見書・補正書を提出しても、拒絶理由通知が、複数回来ることがあります。

私の経験では、半年ごとに5回だったでしょうか、その後拒絶査定となった案件がありました。

また、このページには記載されていませんが「最後の拒絶理由通知」という、補正が制限される拒絶理由通知も受けたりします。

7)拒絶査定となっても、未だ請求項を減縮しても権利として有効であったり、何とか権利化したい、と考えれば、拒絶査定不服審判を請求します。また、図の通り、審判でダメであっても、知財高裁へ提訴がありますが、現実的には、提訴=裁判所のハードルは高いので、審判請求と同時に、審判がダメでも、特許が死なせないために、「分割出願」を並行して行うことが一般的です。